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【航空エンジン発達の歴史Ⅱ】GEタービンブレード DC-10~B747~B777(1974~2004)

航空機のエンジンは常に進化している。

第2弾は、CF6エンジンで有名なGE製ターボファンエンジンのタービンブレードを、DC-10~B747~B747-400~B777-300ERまで体系的に紹介します。

飛行機開発の成否を左右するといわれている航空機のエンジン。その構成部品の中でも、内部コアにある高圧タービン翼が燃費・性能の決め手の一つとなる。

個々のブレード1枚1枚の形状には、その時代の最先端技術・人類の英知が詰まっている。

1974年~2004年までの間に、GEエンジンのタービンブレードはどのように進化したのか。

CF6の基本性能が後のモンスターGE90へと発展。

卓越した性能を持つCF6エンジンの歴史は1970年代までさかのぼる。

当時1960年代後半は、B747が開発される一方でアメリカ空軍による超大型輸送機『C-5 ギャラクシー』の計画も進められていた。

そのC-5用のエンジン「TF39」を開発した会社が、ゼネラル・エレクトリック(GE アビエーション)だった。

1971年、革新的な性能を持つTF39エンジンを民間型に転換する計画が発表され、CF6の原型となるCF6-6エンジン(DC-10 型機用)を開発がスタート。

その後、1974年には改良型のCF6-50シリーズが誕生。ボーイング 747(CF6-50E2)、DC-10・A300B2(CF6-50C)に搭載された。

1988年には、21世紀の航空機にも対応できるエンジンとして、CF6-80C2シリーズが計画され開発がスタートした。

広い推力範囲・高い信頼性・運航コスト・燃費効率の良い-80C2シリーズは、B747-400やB767-300といった民間機から軍用機(空中給油機・輸送機)まで、様々な航空機に搭載されている。

2004年には、世界最大の双発旅客機 B777-300ER用のGE90-115Bがラインナップ。最大推力 52トンを発生するGE90-115Bは、B747のエンジン(CF6)2基分の推進力をわずか1基で発生する。

 

タービンブレードとエンジン型式

GE製ターボファンエンジン タービンブレードの変革(画像左から①~④)

エンジン
型式
推力
(トン)
タービン
入口温度
材質 結晶構造 画像
CF6-50C 22.8 t 1270℃ Rene 80 一方向凝固
(DS)
CF6-50E2 24 t 1290℃ Rene 80 一方向凝固
(DS)
CF6-80C2 23~28 t 1330℃ DSR 142 一方向凝固
(DS)
GE90-115B 52.3 t 1600℃ N5又はN6 単結晶
(SC)

・GEエンジンの高圧タービンは、TF39の時代から複雑で高度な空冷システムが採用されていた。P&W JT9Dでフィルム冷却方式が採用されたのは1976年以降だったが、CF6シリーズは1970年の時点で既に導入されていた。

当時は、画期的な性能を持つ夢の結晶技術と呼ばれた単結晶(SC)タービン動翼。

P&Wエンジンは1982年から採用されたが、GEは1990年以降の採用となっている。その理由は不明だが、製造コストやユーザーの負担となるメンテナンスコストを考慮したのかもしれない。

現代のエンジンは、GE90やCFM56も含めて当然のように単結晶タービン翼となっている。

追記:単結晶タービン翼は、A330に搭載のCF6-80E1エンジンの高圧1段目タービンにも採用されている。第二世代単結晶材 Rene N5
ジェット&ガスタービンエンジンより

①:CF6-50C のタービンブレード

②:CF6-50E2 のタービンブレード

③:GE CF6-80C2 のタービンブレード

④:GE90-115B のタービンブレード

まとめ:GEnx・GE9Xさらに進化するエンジン。しかし原点はTF39/CF6シリーズ

世界最強・最大推力のGE90-115Bエンジンの登場以降も進化は続いている。

推力は減格されているが、より低燃費・高効率を目指したB787用のGEnxエンジン、B777X用に開発が進められているGE9Xなど。

これらの最新型エンジンはどれもコンピューターによって一瞬で開発されるものではない。

過去数十年の研究と実績に裏付け蓄積された技術と、最新のテクノロジーが融合によって新型エンジンは生み出される。

そこには、TF39/CF6時代の技術も一部には残って継承されている。

 

タービンブレード画像について
紹介しているタービンブレードは全て使用済みスクラップ処理が施されたコレクション品を、エアライン公式ショップ・国内外の航空ジャンク市・海外の航空コレクター専門店から正規に購入したものです。

参考にした資料

参考にした専門書

ジェット&ガスタービンエンジン その技術と変遷(飛行機の本 #60) ジャンボジェットはどう飛ぶか:佐貫 亦男 著【おすすめ飛行機の本 #1】 ジェットエンジンの仕組み:吉中 司 著【飛行機の本 #13】 The SUPERALLOYS:タービン翼 単結晶の本【飛行機の本 #47】

 

ブレードとエンジン型式の関係は、趣味の範囲内でご利用ください。内容は、複数の資料で確認していますが間違っている場合もあります。

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1 COMMENT

名無し

親父の知り合いのパイロットから20年以上も前に譲り受けたタビーンが家にある。当時、B72の物だといっていたのにこの画像のCF6-50E2と同じじゃねえかチクショウ。でもB4でも十分嬉しいけどな。

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