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ボーイング 737MAX8のMCASとは? 操縦特性増強システムについて

ボーイング737MAX8に新しく導入されたMCAS(操縦特性増強システム)について説明します。

 

ボーイング737MAXとは

・B737MAX8は、現行の737NGシリーズ(B737-800型機)をベースに開発された機体。

一番の特徴としては、既存のCFM56エンジンを最新のLEAPエンジンに換装したこと。これによって、低燃費で効率的に飛行できる旅客機が誕生。

737MAX8の初飛行は2016年1月、商業運航は2017年5月(マリンド・エア:マレーシア)

 

Boeing Company, N720IS, Boeing 737-7 MAX (30416417438)

画像出典:Anna Zvereva from Tallinn, Estonia [CC BY-SA 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)]

737MAXの改良された5つのポイント

・737NGシリーズの後継機として開発された737MAXは、既存の機種よりも低燃費で効率的な飛行ができるよう様々な箇所が改良されています。

大きく改良された5つのポイント

  1. エンジンをCFM56から最新のLEAPエンジンに換装
  2. ウイングレットをスプリット・シミタール・ウイングレットに交換
  3. コックピットデザインを787と同様の大型ディスプレイに変更
  4. スポイラーシステムにフライバイワイヤを採用
  5. MCAS(操縦特性増強システム)を追加

今回、2件の事故で問題となっているのが⑤のMCASというシステム。

このシステムのソフトウェアや、AOAセンサーと呼ばれる機体の迎角を測定する装置、または付随する機器に何らかの不具合があったのではないかと議論されています。

 

MCAS(操縦特性増強システム)とは?

・737MAXには、これまでの737NGシリーズよりも低燃費で直径の大きなLEAPエンジンが搭載されています。

この大口径の大型LEAPエンジンを搭載するためには、現行 737NGのエンジン取り付け位置よりもわずかに上方に移動させる必要がありました。

ここで問題となったのがピッチアップ効果でした。

大型のエンジンナセル(カバー:覆い)と新しいエンジン取付け位置は、高迎角で飛行した場合にナセル自身も揚力を発生。これによってピッチアップ効果と呼ばれる機首をさらに上へ向ける力が発生します。

高迎角で飛行中にさらに機首が上へ向くことで、機体は失速の方向へ近づく危険性が高くなることから、MCASは自動的に水平安定板を調整し機首を下げる(ピッチダウン)制御をします。

 

737NGシリーズの水平安定板

 

MCASが作動する3つの条件

  • 高迎角での飛行時
  • 急旋回時
  • フラップアップでの飛行中に対気速度が失速に近づいた場合

 

MCASは様々なセンサーからの入力で飛行状態を判断しますが、その一つにAOAセンサーと呼ばれる迎角を測定するセンサーがあり、機首の左右に1つずつ取り付けられています。

もし、このAOAセンサーが故障などで誤ったデータをMCASに入力した場合、通常飛行していた機体が突然機首を下げる恐れもある。

2018年10月29日に発生したライオンエアの事故原因は、AOAセンサーに関連するものではないかと疑われています。

 

737NGシリーズのAOAセンサー

AOAセンサー(迎角センサー)とは

機体の迎角を検出するAOAセンサーは、機首の左右(キャプテン側と副操縦士側)に1つずつ取り付けられています。

AOAセンサーからの信号は、フライトコンピューター(FCC)内のMCASシステムにも入力される。

キャプテン側のAOA信号は左FCC、副操縦士側のAOA信号は右FCCに接続されている。フライトコンピューター(FCC)は2系統装備されているが、一度に動作するFCCは通常一つとなっている。

 

左右にある737NGシリーズのAOAセンサー

FAA耐空性改善通報(AD)が発行

ライオンエアの事故後、FAAから耐空性改善通報(AD:2018-23-51)が2018年11月7日に発行されました。

内容を抜粋すると、

AOAセンサーの誤った高迎角の信号を飛行制御システムが受信した場合、制御システムは水平安定版にノーズダウントリムコマンドを繰り返し出力する可能性がある。

・AOAセンサーのメンテナンス及び機能チェック

・AOAベーンのキャリブレーション

その他、操作手順に関連する内容

FAA耐空性改善通報(AD:2018-23-51)

 

MCASは異常時に手動でオフにできるのか

・もし、AOAセンサーの不具合でMCASが不自然な出力を出し、パイロットの意図に反して水平安定板を機首下げの方向に制御した場合、手動でオフにできるのか?

調べたところ解除する方法は2つあるようです。

  1. 操縦輪のピッチトリムスイッチでMCASを一時的に停止する。
  2. スロットルレバー下側にあるスタビライザー・トリム・スイッチでMCASを完全にオフにする。

この方法が正しいのか詳しくはわかりませんが、2つの解除方法が用意されているようです。

 

まとめ

最新型 737MAX8で起きた2件の痛ましい航空機墜落事故。早期の原因究明と安全対策を願うばかりです。

原因究明のために現在も調査が続けられています。

最後に、もう一度 MCASの機能についてまとめておきます。

・MCASとは:

機首を上げすぎた機体が失速に入らないよう機首下げの制御をするプロテクション機能。

・迎角の検出方法:

AOAセンサーからの入力で機体の状態を検出している。誤った信号が入力されると誤作動の恐れがある。

・MCASは手動でオフにできるのか:

MCASが誤作動した場合は2つの方法で手動オフにすることができる。

 

記事内容について
この記事は当サイトが独自に調べた内容であり事故原因を断定するものではありません。内容の一部は間違っていたり勘違いしている場合もあります。今回の内容に興味がある方はこの機会にぜひご自身で再検証することをおすすめします。

 

参考にした情報

Boeing737Max Maneuvering Characteristics Augmentation System:The Air Current

FAA耐空性改善通報(AD:2018-23-51)

 

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1 COMMENT

ファントムおじちゃん

MCASについてわかりやすい説明でしたので参考になりました。

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