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A330-200/-300 エンジン CF6-80E1シリーズのスペックをディープに解説 ㉔

エアバス A330-200/-300用のエンジン、CF6-80E1シリーズの概要とスペックについて紹介します。

推力70,000 lbf級を狙った-80E1は、CF6-80C2をベースにファンを再設計し大型化、内部コアに新しい技術を適用し燃費効率やメンテナンスコストを抑えたA330用のエンジン。

1993年に運用開始した-80E1A1は推力 63,000 lbfで運用を開始。2001年にはCF6-80C2B8(GE90の技術を取り入れた改良型)をベースにした推力 72,000 lbf(-80E1A3)がラインナップされた。

-80E1A3は、エールフランスのA330-203に搭載され2002年から商業運航を開始した。

 

CF6-80E1の概要

AIB A330 F-WWCB 29sep14 LFBO-1Gyrostat (Wikimedia), CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

CF6-80E1シリーズ モデル

・CF6-80E1A1
・CF6-80E1A2
※1993年10月 EASA認証

・CF6-80E1A3
※2001年11月 EASA認証

・CF6-80E1A4
※1998年8月 EASA認証

・CF6-80E1A4/B
※2004年6月 EASA認証


ファン(FAN)

・ファン直径96 in(2.44m)、ブレード枚数 34枚

チタン合金製(Ti-6Al-4V)ミッドスパン付ファンブレード

再設計されたファンは-80C2よりも幅広で大型化。それに伴いブレード枚数は38枚から34枚へと減少。

最大出力時のブレード先端(チップ)速度は487m/s

これまでのGE製大型エンジンにはあまりない高速回転タイプ。1秒間に874kg(25mプール 約1.2杯分)の空気を一度に吸い込む。

※CF6-80C2のファン・チップ速度は450m/s前後(最大出力時)

低圧圧縮機(LPC)

・軸流式圧縮機(4段)

コアへの空気流入量増大に対応するため動翼には新しい空力設計技術を採用

コアへの空気流入量 9%・圧力比 12%増加(比較;-80C2)

高圧圧縮機(HPC)

・軸流式圧縮機(14段)

7~14段目の動翼は三次元空力設計翼に変更(CF6-80E1A3、1999年以降のモデル)

高いストールマージン、コンプレッサーディスクに粉末冶金を採用したことでサイクル数や使用時間による寿命が向上

最大出力時の全体圧力比は33.7

燃焼室

・アニュラ型燃焼器、低環境負荷タイプ

高圧タービン(HPT)

・高圧タービンは2段タイプ

形状はCF6-80C2とほぼ共通、フィルム冷却の強化

1段目タービン翼は単結晶材(Rene N5)

セラミック遮熱コーティング

高圧タービンディスクは粉末冶金(第二世代 焼結合金材 Rene R88DT)

低圧タービン(LPT)

・5段構成、動翼の空力効率を改善、1段目 動翼材質(Rene 80)

燃料制御

・FADEC

アクセサリー

・ギアボックスには、エンジン用の各種ポンプ、スターター、機体側(発電機、油圧ポンプ)が装着されている。

高圧軸と接続、機体用発電機(IDG:115 KVA)駆動には最大約215馬力(160 kW)必要。

競合エンジン

PW4000-100

RR Trent 700

CF6-80E1 seriesスペック

Detail of GEnx turbofan engine coreOlivier Cleynen, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ

General Electric(GE Aviation)
型式 CF6-80E1 series
搭載機種 Airbus A330-200/-300
形式 二軸式 ターボファン・エンジン
構成 1-4-14-2-5
(Fan-LPC-HPC-HPT-LPT)
離陸推力
最大推力 [-80E1A1]
63,290 lbf(28,733 kgf)
[A2]
64,530 lbf(29,296 kgf)
[A3]
68,530 lbf(31,112 kgf)
[A4]
66,870 lbf(30,359 kgf)
[A4/B]
68,530 lbf(31,112 kgf)
バイパス比 5.3
ファン圧力比(FPR)
全体圧力比(OPR) 32.4~33.7
ファン空気流入量 1,926 lb/s
(873 kg/s)
コア空気流入量
TSFC 燃料消費率
(lb/hr/lbf)
0.332(T-O時)
巡航推力
巡航推力 ー lbf
TSFC 燃料消費率
(lb/hr/lbf)

回転数(最大)  
低圧軸(LP) 3,835 rpm
(115.5%)
高圧軸(HP) 11,105 rpm
(113.0%)
EGT [-80E1A1/A2初期] 1,035℃
[-80E1A2/A4] 1,050℃
[-80E1A3,A4/B] 1,060℃
(EGT : LPT nozzle STG 1)
ファン
ファン直径 2.43 m(96 in)
ファン枚数 34 枚
形状 ミッドスパン・シュラウド付
ファンブレード
材質 チタン合金
圧縮機
ファン 1段
低圧軸 4段
高圧軸 14段
燃焼室
燃焼器タイプ アニュラ型
燃料ノズル ー本
燃料制御 FADEC
タービン
高圧段 2段
低圧段 5段
サイズ
型式 CF6-80E1 series
全長 4.27 m
ファン直径 2.43 m(96 in)
重量 11,225 lb
 推力重量比  [-80E1A4/B]
6.10
運用開始 1993年

※一部のデータはEASAから


【旅客機】機体&エンジン のスペック集

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